コロナ下2年目に迎えた2022年度高校入試ですが、どのような傾向が見られたのでしょうか。
「知識自体はそれほど難しくなかった、そういう意味では、やさしくなった」と新高1は言います。思考力や表現力を重視する方向です。首都圏の難関私立高、慶応志木などでは もともと思考力や表現力を重視していましたが、2022年度はほかの高校においても思考力を問い、これまでのような知識量を競う問題は姿を消しています。
中学校も同じ傾向で、入試問題が変化しているのは大学入試改革の影響です。知識重視から『思考力』『判断力』『表現力』重視に移行しているのです。暗記中心、教わるだけの学習、パターン学習など”思考なし”の勉強法では太刀打ちできなくなっています。いったいどのような問題なのでしょうか?
【国語】
・答えを抜き出し、まとめるという問題に対し、自分の考えを書く、正解よりも主体性を重視した記述
・ボリュームのある文章
・現代社会の問題意識を反映した内容
・グラフ、図、表、イラストが増え、学ぶ姿勢を見るための問題構成、
国語だけではありません。
【数学】
・問題文に書いてある条件を理解し、手作業をしながら試行錯誤をくり返して答えを導く
・問題のテーマを意識しながら考える問題構成
・一見とっつきやすく見えるが、ちょっとした「気づき」が必要な難問
【英語】
・effectively, patience, complainなど単語そのものの難度が上がり、単語量も増える
・複数のイラストを見ながら文中の設問に答える、グラフやイベント用チラシを読んで設問に答える
・データや表についての会話文を読み、読み取り方や類推を書かせる
・対話文の「それ」が指す内容、なぜその返答なのか理由、会話の流れにマッチした返答を問う
・英文メールや英文メッセージの要点をつかむ、英文メモの用件をまとめる
・対話文に文法問題が混在、対話の流れにマッチする英作、状況に対応する英作、日本語メモの英作
【理科】
・「一問一答」形式はあまり出ない
・経験を学習に生かせているかを見る内容
・「授業を受けている感覚」で解く問題
【社会】
・地理や歴史、公民などの基本知識があることが大前提
・知識に加えて思考力を見る問い、検索できないような問い
こうした問題は難しいですよね。なぜ難しいんでしょうか?難しさの正体は、覚えてるパターンにあてはまらないからです。『思考力』『判断力』『表現力』の問題に強いというのは、問題を読んで別のパターンを独自に考え、当てはめられるか判断し、いろいろやって解けました、に強いということです。
別のパターンを考え、当てはめを判断する勉強法は
○教わることしかやってない子
○スピードを競い、機械的に解くパターン学習に慣れた子
○難問に対して失敗を恐れ、試行錯誤をしたことがない子
○面倒なので試行錯誤をしたがらない子
○学習すべてを暗記やノート清書で済ましてきた子
○習っていないから分からない、とあきらめてしまう子
○とにかく多量の問題を解くけれども得意なところしかしない子
パターン作りの経験をしないまま勉強してきた子にとっては、入試問題は厳しかったはずです。あなたはどんな勉強をしてきましたか?が問われていると思います。
では、どのようにすればパターン作りができるのでしょうか?えっ、パターンって自分で作っていいの?そうです。ですけれども
暗記すれば身に付くものでしょうか
ていねいに教えてもらえば身に付くものでしょうか
ひたすら問題を解いていけば身に付くものでしょうか
ある日、突然身に付くものでしょうか
すべてNo!ですよね。失敗しても心折れずに「こうすれば解けるはずだ」「考えてみよう」と積極的に、前向きにチャレンジすることが最初です。この暗記と あの記憶を組み合わせたら こんな解き方ができる、そんな経験を増すことです。「自分はこう思う」を勇気を出して使っていく、失敗を恐れず、他人に同調することなく、積極的に使っていくことです。
ところが、現実は学校や塾では子どもが試行錯誤するチャンスはなかなかありません。みんなYouTube、ショート動画、切り抜き動画、ファスト映画、TikTokなど10分程度の動画でも「長くて見てられない」と感じる時代です。
パターン作りには試行錯誤、つまり「失敗」がつきものです、納得できるまで1つのジャンルにとどまり、✖️されては訂正し、✖️と訂正を繰り返すうちに別の解き方パターンを自分で見つけていくんです。ところが、みんなそんな時間的、精神的余裕なんかありません。一人で深く考える静かな場所もありません。時間をかけて考えることすら、あまり好まれない風潮です。
『めんどくさい、やっていても効率悪いし・・』『苦労したワリに結果が出ない!』と苦闘が続くのです。我慢できないから「えいっ、覚えてしまえ!」になります。覚えてしまえばラクですよ。だって暗黒から開放され楽しくなるから。できない日が続くと、ついイライラしたり、ガミガミ言われてしまう……。こうした自問自答、親子バトルが繰り広げられている状況では子どもは我慢して、じっくり考えることが難しい。
TheJukuは、この試行錯誤する時間、化学反応を起こす場所です。小学生の場合60分、中学高校生なら90分、鉛筆の音しか聞こえない教室で、選んでもらった問題を、集中しつつ、例題を見ながら新しい問題に取りくむ。演習と添削を受けながら、暗記と記憶を総動員し、ああでもない、こうでもない、と試行錯誤を繰り返す、✖️と訂正を繰り返すうちに新しい解法パターンと正解を見つけ出していきます。これを塾長は「脳が化学反応」を起こしたね!と言いたいんです。
鉛筆が止まっていても、子どもは思考中です。先生が声をかけることはありません、もし、それが理解できないで苦しんでいるのであれば、先生が声をかける、それは採点でわかります。ミスが3回続くようでしたら『どうしてそう思ったの?』『どこからわからないの?』とさらに突っ込んで聞いていきます。
そうすることで、子どもは自分なりに考え、筋道を通して相手に伝える努力をします。この積み重ねが、思考力や表現力を育てていきます。学習が終わったら、その日にあった思考のまとめを書く、予定通りか?どうすればよかったのか?新パターンとは?こういった気づきを自分の言葉で表現していくのです。表現力です!
初めてこのような学習法を経験する子はミスも怖いし、パターンを変えるのも怖いですよね。まだ不慣れなため、一人でできるまでメンタルサポートも必要です。ですが、この大事な時期に、何でもかんでも指示をしてしまうと、子どもはやらされ感だけがつのり、勉強が嫌いになってしまう、自分で考える力、やればできるという意欲も奪われ、ラクなほうに流れてしまいます。
子どもにすべてを任せるのは難しいと思います。ですが、できるだけ自走できるように、早い段階から自分で考える訓練と経験をつけさせたいものです。我慢が必要なのは「この”一回目の化学反応”が起こり、次の難題に自走するまで」なんです。いったんこのやり方を学んだ子は、難問にも積極的、意欲的で、必ずと言っていいくらい成績を伸ばし続けます。これには例外というものがありません、経験からわかっています。今日も、あなたが”一回目の化学反応”を起こすことを楽しみに、成績アップのお手伝いをさせていただきます。