例えば、「戦争反対」を唱えるのがAひとり
「どちらでも良い」がB、Cのふたりとする
Aは「戦争反対」と言い続ける
「戦争反対」と叫べるのは平和な時だけ
世の中が怪しくなると、あっと言う間に
「戦争反対」と言えない空気が蔓延する。
次に来るのは、B、C。
「戦おう、国のため!」と叫び出す
Aに対して「非国民」「国賊」の罵声をあげる。
そして、焼け野原の後、
B、CはAを責める。
「反対しなかったのは賛成と同じ」だと・・
Aが正しい、
けれどもB、Cで世の中が動く
数年前、四日市市民会館で演劇のワークショップに参加した。
*ワークショップ : 参加者の主体性を重視した体験型の講座
九人が応募していた。
「間の取り方」とか「他者を演じるイミ」とか、
リハーサル室で週2回、3ヶ月の基本レッスンをした。
いよいよ開演の日まで7日になった。
講演会場も、第4ホールと決まっていた。
が、まだ台本は なかった。
ちょっと、ドキドキしていた
「オペラ座の怪人」とまではいわないけれど、
受講態度で役回りが決められるんだと思った
この人はこういう性格だから、こういう役がいい・・とか。
塾長は暗記が得意じゃないし、通行人かな?
ちがった。
全員が主役だった
えっつ!
九人が九人とも自分のキャラを演じるんだって?
男性は、易者、高校英語の講師、社交ダンスのプロ
女性は、失恋した女、母を介護する女性、キャリア・・
みんな大急ぎで、必死に自分のセリフ を書いた
塾長は「何をやってもうまくいかない男」にした。
そんな役が自分にぴったりだと思った。
全員が主役って・・どういう劇?
講師はイギリスで演劇を学び、帰国後ワークショップを主宰する優れもの。
主役九人のエピソードをつないで一つのオムニバス風ストーリーにしあげていた。
全員が主役って こういうことか・・
自分で書いたセリフだから、おぼえる必要はない。
けれど、次々と矢継ぎばやに舞台は回る・・
自分は、いつ、誰の次に舞台にのぼるのか、のほうが大変だった。
1回限りのリハーサルもそこそこに当日を迎えた。
観客は親戚、知人が来てくださり、15人ぐらいだった。
私が舞台中央でひとり「ダメ男」の口上をしている、
すると、自転車に乗った易者が私の目の前に紙クズをポイ捨てする
次に通りがかりの英語講師が同じくポイ捨てする
失恋した女も前にポイ捨てしていく
次々とポイ捨て
私が困った表情をすると、
今度は観客全員が一斉に舞台に向かって紙クズを投げる
舞台は一面の紙クズだらけになる、
とはいっても、観客の紙クズは赤いバラだけど・・・
お話はここまで、
本題はここから
これが舞台の演出だから笑える、
ところが、現実に、戦争とか、紛争とか、トラブルで
もし私が観客側だったらどうなの?と思う
ひとりでも「おかしい」と立ち上がれるかどうか
いざという時、立ち上がりたいと思う
自分に嘘をつくの嫌だから
どこまで状況を背負えるか?
いつでも、どこでも
人生のチャンスが試される