塾長つぶやき日記

教えないわけ?

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TheJukuが教室を開設したのは、現住所、安島1丁目から中央通りをはさんで向かい側の鵜の森2丁目、堀田ビルの2階でした。四日市全域にチラシ10万枚を新聞に折り込んで6名のスタートとなった、25年前のことです。

当時、大手は鈴鹿英数、個別塾は公文式ぐらいでした。塾業界では成績を上げられるのは最初の6ヶ月だけで、あとは変えられない、国語は成績を上げるのに1年以上かかる、などと平気で言われていました。今もそうかもしれませんが・・

けれども、塾長には会社員の時にTOEICを受験した経験があって、短時間に大量の英文を読むのに「線を引いて」いたのと、桑名高校の生徒が読解に「線引き」をしていたのを見てヤハリ!と確信を得たんです。

現代文の解き方や古典の読解に強くなるには「線を引く」、短期に国語を上げるには、とにかく「線を引く」、それを勧めたところ、中3生7名が大学入試センター試験(1998年国語I 本試 問2山の木と大鋸 志賀直哉)を解いて平均正答率80%の実績を残した。

新潟の先生のご指導もあり、それをチラシに掲載したら大きな反響を得て、23名の生徒が集まってくれました。その中に英語で困ってる鈴鹿高校3年の生徒がいました。

強化対策として単語、文法の強化だけで長文読解が効果薄だったのに苦慮していたとき、大学入試センター試験の過去問題集を見たら、英語と国語の出題形式がまったく同じことがわかった。じゃあ「線を引」けばいい!ってことになって、国語と同じようにやったら英語の成績も良くなる。「線を引く」はTOEICだけでなく英語の長文読解にも使えることになった。

もちろん順調にきたわけではなく、フランチャイズとして10教室あったTheJukuは指導方針の違いから内部分裂し、塾長の方は四日市駅前と平田駅前の2教室だけになった。それまで、先生たちも活気があって、教室もにぎやかで、いろんなテキストを使って、個別に教える指導をしていたんです。

塾長側に残ってくれたのは中2生徒から来ていた「ありさ先生」で、彼女の尽力のおかげで、生徒の学習事前セットが本格化し、静かな教室に移行し、テキストも今のフォレスタに一本化され、演習に特化した教えない塾、補習から予習スタイルの塾にシフトしていきます。予習スタイルになった結果、高校生になっても継続する生徒が20%から88%に大きく続伸します。

他方、教えないことへのクレームもたくさんいただきました。泣いて帰る暁高校3年生もいました。ですけれども、塾長には教えないことへのこだわりがあったんです。

社会人になっても「教えて!教えて!」という人はいませんし、毎年60~80名の生徒を25年見てきて思うのは成績のいい子ほど教わってない事実でした。泣いて帰った暁高3生も教わらなくなってからすぐ成績を上げました。「子供は教えれば教えるほどダメになる」

スタッフにはTheJukuの卒業生が何人かいます。いまお手伝いいただいているスタッフの中には1年間に2回しか質問してこなかった生徒もいます、TheJukuは質問がある時だけ教えるスタイルですから、ほとんど指導してない、

彼や彼女はただ用意された問題を淡々とこなしていただけなのに、いま、スタッフとしてお手伝いにきてくれます。ありがたいことです。教わらなくてもこの塾に来てくださるのはなぜか?

ご本人に聞きましたら、教室は模試会場と思って来ていた、という返事が返ってきました。TheJukuには「指導」を超えた、大きな「場」の力があるということです。

東京の渋谷区恵比寿から毎月、コンサルタントに来てもらっています。毎回、指導運営の改善点が指摘され、最大の欠点は私どものコミュニケーション不足です。

上の「場」の力と合わせてわかるのは、生徒さんによってコミュニケーションが必要な時とそうでない時がありつつ、必要でなくなっていくということです。成績を上げるには自立を促すことですが、コミュニケーションか自立か、生徒さん一人一人の見極めが一層重要になってきてます。

一方で、教えない方がいい理由も分かってきました。なぜ教えない方がいいのか?それは初めてみる問題に対して積極的に解き進める経験を増やせるからです。

最初から教えてもらうのは、ドンドン進むから効率が良さそうです。ですが考えない癖がつく、覚えればいい、学習が作業になっていくんです。壁に突き当たったら、習ってないからできません!になる。

たくさん教えてもらいたい、苦しみから解放されたい、できないのは教え方が悪い、課題解決から遠くなっていくんです。一人で解ける、とならないのは危険です。

さらに、不合格の原因は難問が解けないからではなく、制限時間に間に合わないからです。TheJukuの教室でやってるのは一人で戦う訓練、難局を超え思考回路をスピードアップする訓練です。

なぜ今のやり方が入試に強いかがようやくわかってきました。言ってみれば毎日が入試だからです。

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