限界を知った日

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元気の出る塾長ブログ 生徒の声

高2の時、英語の先生が急に入院されて、しばらく 別の先生が来ることになった

代行の先生は自分の高校からでなく北野高校からきた、
というのでみんなざわついた

なにせ、北野といえば、東大14人、京大90人、阪大40人、同志社170人を合格させる高校、
大阪府の公立としてトップの進学校だった

その北野を定年退職したという先生が教室に現れた、
お名前は忘れたが痩せヒョロなメガネ先生だった

自己紹介で発した言葉は、

「英和辞典は国語辞典として使うんだ。たとえば「けしき」の漢字を忘れた時は、英和でviewを調べて『景色』を見つける。つまり、けしき→view→景色、という使い方をする」

授業は読解と英作の混合だった。読解のテキストは「ヒロシマノート」の英訳本。ノーベル文学賞の大江健三郎が広島を取材し原爆の恐怖と破壊、そこから再生しようとする人々の奮闘を書いたノンフィクション作品だった。

が、なかなか授業が進まず、痩せヒョロなメガネ先生の苛立ちは隠せなかった。

1行、1行の英文を矢継ぎ早に生徒に当てて訳させていく。単語もわからず、構文も読めず、当てられた本人が答えられないとそのまま立たされる。立った生徒は授業が終わるまでクラス中の「恥」をかく。途中で質問に答えるチャンスがあって、正解なら着席できる。が、そう簡単ではない。当てられないことばかりの願う恐怖の授業。私も含め、何人もの生徒がまた一人、また一人と立たされる、教室は混乱と興奮の渦となった。

「英作文は英文を覚えて使う」とメガネ先生は言った。英作文は開拓社のA5小型テキストだった。ページの最上段に大きな文字で例文があり、その下に練習が3題。シンプルで1ページごとに完結されていた。実はこのテキストが英文を覚えるきっかけになった。

最初のページは こういう英文だった
From the look of the sky, the typhoon will probably be raging in all its fury about this time tomorrow.
この空模様では,おそらくあしたの今ごろは台風が猛威をふるっているだろう

この難解で複雑な1文を何度も復唱した。覚えても覚えてもすぐ忘れていく。自分がイヤになった。でも、自分がイヤと思いたくなかった。3ヶ月後、恐怖のメガネ先生が去った。その後も繰り返し復唱した。そしてその後、同じ英文を駿台の「基本英文700選」で発見する。

まさかと思い何度も読み返した。全く同じ文章だ。必死に書きなぐった。まだ覚えている!恐怖のメガネ先生を思い出した。出会えてうれしかった、覚えた英文にワクワクしてきた。ほとんどあきらめていた英語も、こうして1文を何度も復唱すればいい、と思った。多読でなく精読、大量のお湯より一滴の熱湯が勝つと思った。

覚えないと英作文もできない、覚えても忘れる、だから繰り返す、その連続だった。この作業は新しいことをするより10倍苦痛だった。ただ、思い出せる膨大なメリットと快感が忘れられず、ひたすら700の全文を覚えた。

そうしているうちに1文を覚える方がはるかにラクでメリットがいくつも膨らんでいった
たとえば上の1文だけでも
・From 〜 構文の使いかた  ・look ofにはtheがつく ・probablyという副詞の位置はwillのあとでbe動詞の前 ・猛威をふるうはin all its fury  ・あしたの今ごろは about this time tomorrow

これが、英文法も、長文を読む時も、整序問題も、英作のも使える。これまで、これを一つ一つ覚えていた。定期テストにはいいかもしれないが入試で使えない、そして忘れていたんだ。

さらに、わかったことが3つあった。
忘れるという難題にどう挑戦するか。新しい1冊でなく、1周した1冊を繰り返すことだった。
「700選」1冊を1周し、2周したあと、3周目から少し楽になった。1周目1冊英文暗記に3ヶ月、2周目1冊3ヶ月、3周目1冊1ヶ月、4周目1冊1日、5周目1冊8時間、6周目1冊3時間でできる。この時間短縮の発見は実力の証(あかし)、自信に拍車がかかる

次に、700選は大学入試センター英語の80%に当てはめが効く。入試英語にも範囲があるとわかる

そして、このやり方が数学にも応用できる

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