岩穴のサル   一、岩穴にいたサル

春夫が山ぶどうをカゴに入れ、崖をおりてくるときに、岩穴を見つけました。岩穴のぞくと、中に大きなサルがしゃがんでいました。なかなかサルが動かないので、春夫が不思議そうにサルを見つめていると、突然後ろから子ザルに腕を噛まれました。春夫はカゴを投げ捨てて逃げ、岩に体を隠して岩穴の方をのぞきました。しばらくすると、子ザルが岩穴から出てきて、こぼれているぶどうを口いっぱい大急ぎで頬張り、また岩穴に入っていきました。それっきり、子ザルは岩穴から出てきませんでした。