国公立大学医学部合格、愛知県と三重県の状況は
医学部に合格
おめでとう!
ですが、受験は決して自己都合のためだけではない、
自己を投げ打って人さまの役に立つことでなければならない、
その「奪う」ことと「与える」ことのバランス、転換を強く認識する必要があるわけで、
どうしたらいいか、と思ったから、レジリエンスを思い立ったのです。
いま勝ち誇っていたとしても、負けは必ずある、
きっとどこかでたたかれる
自分に気づく、
短所は誰にでもある
失敗は誰でもする
うまくいかないことはだれにでも起こる
もし挫折しても、短所を避け、失敗から目を背け、うまくいかないことから逃げるのではなく、
その時々の、考え方、向き合い方、対応の仕方を知ること、
TheJukuの授業は このレジリエンスが静かに流れています。
短所、失敗、うまくいかないことは、完全になくしてしまうことはできません。
だからといって何か大きなことを成し遂げたり、すごいチャレンジをしたりする必要はない。
自信をつけるために、毎日、少しずつ、自己肯定感と自己効力感を高めていく。
そのために効果的なのが、今日の学習を書くことです。
自分と向き合い、短所も失敗もあるけれど、私はこういう人間になりたいと考え、こういう理想を持って
毎日過ごしている、ということを、日誌に、文字で、確認する。
書いた日誌を読み返し、未来に対してポジティブな目標を設定することです。
明日はこんな1日にしたい、という理想や目標を、さらに考え、それを文字にする。
レジリエンスは、負けるな!くじけるな!根性だせ!という類の「折れない心」ではなく、
失敗する、
分析する、
何かを学ぶ、
先にある理想を見る、
立ち上がる、
再び進む。
これがレジリエンスの仕組み、TheJukuの学習の基本的流れです。
以下の記事は朝日新聞デジタル(11/17)からです。
田中恭太氏の記事を引用させてもらいます。
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2022年の大学入学共通テストの初日、東京大学前で受験生や高齢者が次々と刺された。逮捕されたのは、国内最難関とされる東大理科三類を目指していた、当時17歳の高校2年の少年=名古屋市=だった。裁判では、勉強に過度にのめり込んだ末にゆがんだ考えを抱き、事件に至った経緯が明かされた。
2023年10月の初公判。19歳になった被告は黒のスーツをまとい、短髪に眼鏡をかけた姿で東京地裁に出廷した。
起訴内容は、22年1月15日午前8時半ごろ、東大弥生キャンパス前の路上で、受験生2人や通行中の高齢男性を殺そうと包丁で背中を刺し、けがを負わせたというもの。その直前、電車内や駅の構内で火をつけた着火剤などを投げ、駅員らに消火活動などをさせた罪にも問われた。
起訴内容に誤りがあるかを問われると、被告は「特にございません」と認めた。
「普通の小学生」、塾に行きだして変わった
法廷での証言から生い立ちをたどる。
被告は大学職員の父親と、パート従業員の母親の第1子として育った。弟と妹が計3人いた。
小学校時代は「普通の小学生」(被告本人)。
テレビゲームやカードゲームを好み、友人もいた。漫画も好きで、「漫画家になりたい」と夢を口にすることもあった。
5年生で塾に入った。地元では「スパルタ塾」として知られていたが、苦に思わず、勉強に取り組むようになった。
公立中に進学し、中学2年になると成績がぐんぐん伸び始めた。50~20位だった学年順位が、3年生でひと桁台になった。
弁護人「成績が上がるにつれ、変化は?」
被告「中2までは関心を示していなかったんですが、中3になり、『勉強ができる』と認識し始め、傲慢(ごうまん)になり始めたという変化がありました」
弁護人「傲慢、とは?」
被告「塾ではクラスが分けられるのですが、下のクラスにいたことがなく、心の中で軽蔑していたりとか」
中学2年のとき、途上国で医療に取り組む医師のテレビ特集をみた。漠然と、医師を志すようになった。
大きな挫折の「汚名返上」
だが、挫折が待ち受けていた。
高校受験で、第1志望を含む県外の私立2校を受け、不合格になった。周囲の同級生らはこれらの学校に軒並み合格。「自分だけ落ち、悔しさを感じた」という。
第2志望だった地元の進学校へ。次の目標に定めたのが「東大理科三類」だった。
偏差値が日本で一番高いとされ、高校受験の「汚名返上」が大きな理由だった。
別の考えもあった。
中学3年の12月、好きな女性に交際を断られていた。
被告「自分には勉強以外何もないから、それで挽回(ばんかい)するしかない。おごった考えで『理三しかない』と」
なぜのめり込んだのか…精神科医の見方
高校生活は、勉強一色だった。
入学当初から続いたコロナ禍の休校が明けると、自己紹介で「東大理三を目指す」と宣言。「背水の陣を敷き、自分を脅して逃げられなくした」という。
休み時間にも勉強し、放課後は学校の自習室か塾で過ごした。外出は飼い犬の散歩程度で、土日に遊ぶこともなかった。漫画を読むのも描くのも中2でやめていた。友人のことも「ライバルや、『蹴落とす対象』という感じに捉え始めた」という。
成績は上位で、高校1年の1月の学年順位は「17位ぐらい」だったという。
両親は成績や進学先にこだわりはなかった、という。なのになぜ、ここまで勉強にのめり込んだのか。
公判では、精神鑑定を実施した精神科医が証人として出廷した。
精神科医は「両親からの愛情を受けたい年齢のときに弟や妹が次々と生まれ、本人もマイナスに捉えずに自立しようとした。だが、成長過程で必要な『甘える』という過程を経ていなかった」と指摘した。
証人として出廷した両親らによると、一番下の妹には障害があった。被告が中学3年のとき、中学1年の弟が不登校になった。被告はおとなしくまじめな性格でもあり、きょうだいのなかで最も手がかからない子、と受け止めていたという。
一方、精神科医は被告の心理を、こう分析した。
「親に褒められたい、認められたいとの気持ちが無意識に出てくるが、成績が優秀だったことで褒められ、自信になり、わかりやすい『成績』にのめり込んだのだと思う」
落ち始めた成績
弁護人「理三に行きたい気持ちが揺らいだことは?」
被告「何度か揺らぎかけました」
弁護人「そんなときはどうした?」
被告「『逃げちゃだめだ』と自分を脅迫した。『勉強するしか周りに認められる方法はないんだ』と、自己暗示したりしました」
高校2年になると、成績が下がり始めた。苦手な科目が出てきて、周りも勉強に精を出すようになった。
必死に挽回しようとした。
弁護人「高校2年の夏休みはどんな生活だった?」
被告「勉強だけをしていました」
弁護人「どれくらい?」
被告「誇張なしに、1日14時間はざらにしていたと思います」
弁護人「ずっと集中できていた?」
被告「高校2年からはだいぶ疲労困憊(こんぱい)していて、集中しきれている勉強だとは言えなかったと思います」
学年順位は、2年の夏休み明けには100位前後に。9月の三者面談で「希望進路を変えた方が良いのでは」と提案された。
妥当だと思う一方、既に「理三に行く」と宣言し、偏差値を重視する発言を繰り返していた手前、「馬鹿にされる」と心配した。
同級生の女子生徒にも相談した。「レベルを下げればいいんじゃない」と言われた。勉強から離れたい気持ちから、流れで「どこかに遊びに行きませんか」と誘ったら、「テストの勉強をしなさい」と諭された。「ふられた」と感じた。
死への「踏ん切り」つけようと
その後、自殺を考えるようになった。
自宅にあった包丁を腹に当てたこともあった。自作の銃による自殺も考え、ステンレスパイプや導線、金属のこぎりなどを買い集めた。水銀を探しに、県外にも赴いたが、結局見つからず、あきらめた。
「自分を知る人がいない所に行って再起したい」
22年の年明け、14日夜に出発する東京行きのバスチケットを買った。
出発の約1週間前、到着日が共通テストの初日だと気が付いた。
テスト会場のような所で死ねた方がいいんじゃないか。人を殺したり放火をしたりすれば、人様に迷惑をかければ、死への踏ん切りがつくのでは――。そんな考えが浮かんだ。
飛躍にも感じられる考えを、検察官がただした。
検察官「自殺をあきらめて家出しよう、から、再び自殺しようという考えになったのは?」
被告「自殺の理由は変わっていないですが、手段が変わりました」
検察官「どういう経緯をたどって事件を起こすようになったか、説明できる?」
被告「ネットで共通テストの会場とかを調べて、安田講堂があるな、と。飛躍かもしれないですが、死ぬならいっそこういう所がいいな、でも死にきれないな、となって、人間として最悪になれば自責の念から死ねるんじゃないか、と積み上がってきた」
検察官「どうして安田講堂やその周辺でと?」
被告「理三や勉強がどうのこうのとか言っていたので、死ぬならそういう所で死ねれば、象徴というか」
計画を実行、3人を刺す
事件前日の朝。いつものように家を出た。カバンには包丁やナイフ、エタノールやメタノールを入れたガラス瓶やペットボトルを忍ばせた。コンビニで携帯電話を捨て、名古屋城や名古屋テレビ塔周辺をうろついた。夜、バスに乗った。
早朝に東京駅に着くと、東大周辺を下見した。いったん地下鉄で離れ、後楽園駅近くの公園で準備をした後、再び電車に乗った。
東大前駅に到着する間際、油が染みたリュックサックや火の付いた着火剤を投げた。電車を飛び出し、構内に着火剤やガラス瓶を投げながら走って地上に出ると、包丁を取り出し、東大へ向かう受験生や通行人の背中を次々と刺した。
結局自殺はできず、現行犯逮捕された。
勾留生活が始まった。
逮捕されても「受験勉強」やめられず
成績や受験から解放されたのかと思いきや、勾留中も勉強を続けていたことを、被告人質問で明かした。
弁護人「どうして勉強をしていたんですか」
被告「勉強をしていないと、周りから何か言われるんじゃないかという強迫観念からやっていた。今後の不安を解消するなら勉強しかないなと。被害者や事件のことを考えていると、やるせない気持ちになって。現実逃避というか、現実と向き合わないようにする手段だった」
検察官「逮捕後に勉強を始めたのはいつごろから?」
被告「参考書とノートがある状況は(昨年の)5、6月ごろからになります。捕まった直後から弁護人からノートをもらって、その隅っこの方に数式とかちょこっと書いていた」
検察官「どんな勉強なんですか」
被告「いわゆる受験勉強です」
検察官「『勉強をしないと周りに言われる』と。誰に何を言われるのですか」
被告「拘置所にいる看守の方とかのこと」
検察官「勉強をしていないと、その人たちにどう思われると」
被告「まじめにしているか、していないか、ということです」
勉強は公判が始まる1カ月前にやめた。被害者の供述調書を読むなどして、少しずつ考えが変わった、という。
検察官「勉強をやめて1カ月が経った。どんな不安を感じているか」
被告「勉強をしていないので今後生きていけるのかどうかや、勉強なしで金銭的な贖罪(しょくざい)をやっていけるのかという不安ですかね……」
検察官「勉強をやめてみて、他に誇れることはありますか」
被告「皆無と言っていいほど、何もないです」
いまだに勉強に対する強迫観念を感じさせる受け答えをする被告に、裁判官も尋ねた。
裁判官「勉強したい気持ちはわいてくる?」
被告「わいてくるというより、四六時中そういう思いでいます」
裁判官「将来的には社会に出てくる。医師になりたいのか」
被告「そういう思いは少なくなってきていますが、対処し切れていない。贖罪のためにならなきゃ、というような気持ちが残っている感じ」
裁判官「学歴偏重が問題だと思ってはいるのですか」
被告「思っています」
裁判官「それでも医者という職業や、勉強ができることにやっぱり価値を置いてしまうということ?」
被告「そういう考え方を払拭(ふっしょく)しきれていない感じです」
語気を強めた中尾裁判長
被告人質問の最後、それまでは淡々と事実関係を尋ねる程度だった中尾佳久裁判長が突如、強い口調で問いかけ始めた。
裁判長「秀でたもの、本当にないですか? 『人よりもできること』だけを探している感じがしません?」
被告「『秀でたこと』ならそういうことなのではと思い、そう答えました……」
裁判長「社会に出たときに、本当に『秀でたもの』が必要だと考えてる?」
被告「うん……」
裁判長「お父さんは『家族に優しい』と話していた。人はたくさんいるので『人に勝ること』は、見つかりにくいんですよ。物差し、価値観はたくさんある。考えて下さいね?」
被告は「はい、精進いたします」と応じた。
検察側は論告で、動機は身勝手で計画性があるなどとして懲役7~12年の不定期刑を求刑した。一方、弁護側は、精神的に未熟な少年が起こした事件で更生を重視すべきだとし、家裁へ再送致し、保護処分を受けさせるのが相当だと訴えた。
言い渡された判決
11月17日の判決日。中尾裁判長は「被告を懲役6年以上、10年以下に処する」と言い渡した。
続いて、理由を次のように説明した。
「犯行の様態は、無防備な被害者らを攻撃するという、生命侵害の危険性が高い、非常に悪質なもの。綿密とは言えないものの、相応の計画性を持った犯行だ」
「自殺という目的を達成するために全く無関係の他人を巻き込んでおり、人命軽視の姿勢は甚だしく、身勝手な犯行というほかない」
その上で、保護処分が社会的に許容されるとは言えない、と指摘した。
また、犯行に至る背景として「学歴や偏差値、一定の職種で自他の優劣を評価するという偏った価値観、視野の狭さ、柔軟性に乏しい思考といった、被告の資質上の問題がある」とも指摘。保護処分を選択した場合に見込まれる処遇の期間では十分な改善・矯正が難しいとし、「刑事処分をもって臨むべきだ」とした。
最後に中尾裁判長は「裁判体から伝えたいことがあります」と切り出し、こう話した。
「あなたが犯した事件の重大性や、被害者や関係者に与えた影響について、もう一度よく考えて下さい。複数の専門家から指摘されたあなたの問題点について、正面から向き合って改善する努力をして下さい」
「人の命を軽んじるという重大な過ちを犯しました。人の命の大切さを忘れないで下さい。他人の命やあなた自身の命を大切にして、人生に対する希望を見つけて、社会復帰してほしいと思います。これは、裁判員、補充裁判員、全員からの気持ちになります」
背筋を伸ばしてじっと聞いていた被告。中尾裁判長から閉廷が告げられると、裁判官や裁判員に対して、深く頭を下げていた。(田中恭太)
冒頭に書いたことを、もう一度書きます、
自信をつけるために、毎日、少しずつ、自己肯定感と自己効力感を高めていく。
そのために効果的なのが、今日の学習を書くことです。
自分と向き合い、短所も失敗もあるけれど、私はこういう人間になりたいと考え、こういう理想を持って
毎日過ごしている、ということを、日誌に、文字で、確認する。
書いた日誌を読み返し、未来に対してポジティブな目標を設定することです。
明日はこんな1日にしたい、という理想や目標を、さらに考え、それを文字にする。
レジリエンスは、負けるな!くじけるな!根性だせ!という類の「折れない心」ではなく、
失敗する、
分析する、
何かを学ぶ、
先にある理想を見る、
立ち上がる、
再び進む。
これがレジリエンスの仕組み、TheJukuの学習の基本的流れです。