近年の入試では難問は姿を消し、高度な受験スキルは求められなくなった。易しくなった代わりに思考系問題が増えた。解く際に必要なのは自分の手を使い、自分の頭で考える“骨太の学力”。特に開成中など難関校では考えさせる問題が定着した。
2023年度の中学入試が終わった。コロナ3年目となる23年度入試は、「コロナだから」という特別感はすでに薄れ、難関中学の受験は例年と変わらず厳しい戦いになった。
23年度入試についてひと言で説明するとしたら、中学入試に思考力を求める問題がもはやスタンダードになったことを決定づけたことだ。この流れは4年前から見えはじめていたが、22年度入試では各校ではっきりと打ち出してきた。従来の中学入試は、知識と熟練による受験スキルの有無が合否を決めていた。つまり、塾で習ったことをしっかり勉強しておけばなんとかなった。ところが、近年の入試はそれだけでは太刀打ちできなくなっている。それは、なぜか――?
入試はどれだけ楽しめるかがカギ
どの教科においても問題文が非常に長くなっている。小学生の子供にここまで読ませるのか、と驚くレベルの長さだ。しかも、その中には塾や学校で教わらないような初見の内容も含まれる。
「こんなの習っていない」と絶望的になるか──。すでに勝負はここから始まっている。このような問題を男子御三家の麻布中では以前から出題していたが、今回を含めここ数年は他校でも多く見られるようになった。
開成の算数は「簡単だった」から起きた不合格の悲劇
算数に関しては、誘導形式問題の増加が目立った。とりわけ注目すべきは開成の算数入試だ。今年の開成の算数入試は、ひと言で言うと「めちゃくちゃ簡単」だった。
おそらく入試直後「できた!」と手応えを感じた子の多くが、オンラインでの合格発表で自分の受験番号がなく「まさか、そんなはずない」と絶望した子も多かったと思われる。
なぜなら、このような年は、算数ができない子はもちろんのこと、算数だけが得意という子もはじかれ、不合格になることが多いからだ。たとえ他3科目が今ひとつでも算数で逃げ切ろうという算段が崩壊してしまうのだ。
初めて目にする問題を楽しめるか
従来の知識型の問題とは大きく問題傾向が変わってきていることが分かる。このように導入やヒントにあたる小問から始まり、だんだんと深く考えさせる問題を出した中学校が今年は特に多い。
では、なぜそれを入試で行うのか――。
入学後そういう姿勢で授業に臨んでほしいからだ。つまり、入試はその学校の最初の授業なのだ。
塾で習った知識を丸暗記し、「この問題のときはこう」とパターンに合わせた型だけを覚えて解いてきた子はもういらない。それよりも自ら理解し考えようとする意欲を持った子に、うちの学校の授業を受けてほしい。なぜなら、そういう子が、入学後にグングンと伸びていくことを知っているからだ。
難問・奇問はもう出なくなる?
塾の学習によって得られる受験スキルから、その場の対応力が必要となる骨太の学力に変わり始めている。知識と熟練が重視されていたこれまでの入試は、塾の指示通りに勉強を進めていけばよかったが、近年の入試では、難問・奇問はすっかり姿を消し、受験スキルはそこまで求められなくなった。
代わりに増えたのが、いわゆる思考系問題を解く際に必要とされる骨太の学力だ。骨太の学力とは、さまざまな条件が書かれた文章を整理しながら読み解く力であったり、手作業から考える糸口を探すといった書く力であったり、知識や経験を組み合わせて考える応用力だったりする。こうした力はある日突然身に付くものではなく、学習のプロセスで培われていくものだ。また、私にはできるはずだという自己肯定感がなければ、なかなか育ちにくい。
そして一番困るのが、それをどうやって身に付けていけばいいか誰も教えてくれないことだ。塾は受験のスキルは教えてくれるが、骨太の学力を身に付けるための指導は難しい。問題傾向が変わってきていることは塾側も十分わかっているが、良質のカリキュラムの提供にとどまらざるを得ない。だから「そこはご家庭でやってください」と家庭に丸投げするしかない。家庭の役割は、「何をやらせるか」から「どのようにやらせるか」に変化しつつある。これが、今の中学入試なのだ。
重要になる学習のプロセスが家庭まかせになる失敗
骨太の学力をつけるために、子どもは何をすればよいのか――。
まず大事なのが、「ちゃんと読む」「ちゃんと書く」習慣を身に付けることだ。「ちゃんと読む」とは、問題文を読みながら「今、何が分かっているのか」(仮定)、「何を聞かれているのか」(結論)を意識すること。それを意識せずにただ読み進めてしまうと、ポイントが抜けていたり、条件に気づけなかったりといったことが起こる。
「ちゃんと書く」とは、文章を読みながら大事なポイントに線を引いたり、図形問題を解くときに図を書きながら考えてみたりといった作業をいう。こうした手作業を面倒くさがらないことがまず大切。そして「この問題を自分の力で解いて見せるぞ!」という強い気持ちも不可欠だ。つまり、どれだけ自分ごととして捉えることができるかどうか――。「こういう問題のときはこう」といった機械的なくり返し学習では決して身に付かない力だ。
子供が自らできるようになるまでには時間がかかる。そこで、してはいけないのは親が問いかけを厳しくすることだ。
「今、分かっていることは何?」
「正解が出るためには、何が分かっていないといけない?」
「何を書けばそのことが分かりやすいかな?」
「今書いたことから何が分かる?」
TheJukuでは、日々、予習をくり返すことで少しずつ、意識的に「ちゃんと読み」「ちゃんと書く」ようになる。そして、この学びの姿勢が身に付くと、どの教科もバランスよくできるようになる。
なぜ、塾の「大量学習・パターン演習」がダメなのか
一昔前までは、中学受験では算数が得意な子が有利と言われていた。算数は、他の教科と比べて得点差がつきやすく、難問を解く力のある子が圧倒的に有利だったからだ。ところが今は、そういった難問を出す学校はほとんどない。
一方、近年は、どの教科においても問題文が長くなり、読解力が不可欠だ。「ちゃんと読む」から始まって、条件をしっかり整える習慣が付いているか否かが、合否を分けるといっても過言ではない。そういう点では、各教科のバランスの良い子が求められる。
一般的に中学受験の勉強は、進学塾の4年生コースがスタートする小3の2月から始まる。小4のうちは通塾日も週2日と少なく、授業の内容も基礎的なものなので、大きくつまずくことはない。そこでつい今のうちにもっとやらせておこうと、あれこれ市販の教材に手を出したり、同じような問題を何度も解かせたりしてしまいがちだ。
しかし、今の入試は「何かをたくさん覚えたり、解いたりする」ことよりも、「どのように勉強をしてきたか」が問われる。勉強量だけではなく、勉強の質を高めることが大切である。
中学受験は学年が上がっていくにつれ、ハードになる。その場の対応力が求められる思考系の問題にシフトしているとはいえ、中学受験に必要な知識は習得しなければならないし、本番に慣れるための演習は不可欠だ。塾の勉強も大事であることは今も変わらない。ただそれをやみくもにやるのか、TheJukuできちんと読んで、きちんと考えながら取り組むのかが、今後の受験勉強のカギとなるだろう。
大量学習・パターン学習といった「タスク管理型」学習から、「プロセス重視型」
いよいよ本気でTheJukuの学習法が効果を発揮する時がきた。
体験学習でこの効果をお試しください。